« 2009年2月 | メイン | 2009年4月 »

2009年3月

2009年3月26日 (木)

高等教育機関等連携事業「学びの風」・アンチエイジング講座~いつまでも若々しくありたいあなたへ~ その4

3月19日(金)、4回目のアンチエイジング講座が開催されましたshineflairshine最終回の今回は公開講座で、講師に、テレビ出演、また執筆活動もさかんな、諏訪東京理科大学共通教育センター教授・篠原菊紀(しのはらきくのり)先生をお呼びしましたwink先生は脳トレーニングの実践を取り入れながら楽しくお話ししてくださいましたnoteshappy01

テーマ:内にも若さを!脳を鍛える活脳トレーニング

問題提起:脳の機能を高めるために有効な方法は?

◆前提

 脳は年をとればとるほどだめになると考えられがちですが、実は年とともに良くなる脳の機能が確実にあるのです。

 人間の脳の機能は「流動性知能」と「結晶性知能」に分類されます。流動性知能は情報を処理して何かを生み出す機能で、これは20代半ばごろをピークにして緩やかに衰えていきます。一方「結晶性知能」は智恵・知識・経験であり、こちらの昨日は老年期に至るまで伸び続けていくものです。

 そこで、年とともに良くなる脳の機能を十分に活かすため、ちょっと衰えていく部分を鍛えてバランスよく脳を高める、そのような意識で脳のトレーニングに取り組むことが大切です。

◆脳(前頭葉)を鍛える

 今回のお話で「脳を鍛える」と言う時の「脳」は、額の下にある「前頭葉」を指しています。前頭葉は進化史上最後(ヒトになってから)に発達した、人間らしさに深くかかわる部位です。前頭葉の機能によって人間は、考えたりがまんしたり、他者の気持ちを感じ取ったり自分の意志を決めたりすることが可能になります。

 では、前頭葉は具体的にどのようなはたらきをしているのでしょうか。篠原先生はその一つを「脳のメモ帳力(りょく)・ワーキングメモリの力(ちから)」と表現されました。これは、ある情報を一時的に記憶して保ちながら操作するといった機能です。そして、この機能を維持するための様々なトレーニングがあるのです。

 例えば、先生がお話の中で実践してくださったのが、示された文字の色を瞬時に答えるゲーム、後出しじゃんけんで勝ったり負けたりするゲーム、耳と鼻を手でつまんで合図とともにその手をチェンジするゲームです。他にも、「脳トレ」ブームの昨今、様々な本や雑誌でトレーニング方法が紹介されています。これらのトレーニングは、すらすらこなしてしまう時ではなく、できなくてあがいているその瞬間に効果があるそうです。また、できた時の達成感、誉められた時の喜びがトレーニングの効果をさらに高めます。このように、簡単すぎず、難しすぎず、自分のペースにあったトレーニングを選び、楽しみながら実践することが「脳のメモ帳力・ワーキングメモリの力」を維持するのです。

 一方篠原先生は、特別なことをしなくても前頭葉は鍛えられることも教えてくれました。その方法は運動、中でも簡単にできるのがウォーキングです。運動においても、難なくこなしている時ではなく、ほどよく疲れてきた時が前頭葉を活発に使っている状態になるようです。そして、疫学調査では「運動する人はアルツハイマーを含めた認知症になりにくい」という確実な結果も出ています。このように、運動(ウォーキング)も前頭葉を鍛える一つの方法と言えるのです。

 さらに、前頭葉にはミラーニューロンという神経細胞があります。このミラーニューロンは他者の次の行動を予測し、その意図を理解するはたらきや、他者と共感するはたらきをします。これらの機能は人との積極的なかかわりによって刺激され、活性化されるため、前頭葉を鍛える方法に「他者とかかわること」も挙げられるのです。

以上のような先生のお話から、脳の機能を高めるための有効な方法をまとめます。

結論:脳の機能を高めるためには、前頭葉を鍛えることが効果的。その方法は、「脳のメモ帳力・ワーキングメモリの力」を刺激する様々なゲーム、ウォーキングに代表される運動、そして他者とかかわることである。

41  42  43

2009年3月12日 (木)

高等教育機関等連携事業「学びの風」・アンチエイジング講座~いつまでも若々しくありたいあなたへ~ その3

3月10日(火)、3回目のアンチエイジング講座が開催されましたshineshine今回の講師は、株式会社シーボン.栃木工場取締役工場長の塚原澄子(つかはらすみこ)先生ですrouge以下に先生の話をまとめますhappy01

テーマ:若さは素肌から!「美しい素肌のために」

問題提起:いつまでも若く美しい素肌を保つためにはどうしたらいいか。

◆皮膚の老化とその原因◆

老化は精神的にも身体的にも進みますが、身体的な老化の一つに「皮膚の老化」が挙げられます。皮膚の老化の症状は、しわ、たるみ、シミ、乾燥などです。

これらの症状には4つの大きな原因があると言われています。その一つ目は紫外線によるダメージの「光老化」です。実は、紫外線にはUV-AとUV-Bの2種類があり、急激に作用して日焼け(サンバーン)やシミの原因となるのがUV-Bです。しかし、知らず知らずのうちに光老化を促進させている主因はUV-Aの方で、こちらは肌の真皮にまで到達し、肌のはりを保っているコラーゲンとエラスチンを壊す酵素を増やします。そしてUV-Aの働きによってはりのなくなった肌はたるみ、ひびができ、しわを発生させるのです。

皮膚の老化の二つ目の原因は「皮膚の乾燥」です。私たちの肌は、角質の潤いを保つ天然の保湿成分が年齢とともに減少していきます。そして乾燥した肌は、角質層の表面が乾いてはがれやすくなり、隙間が生じます。この隙間を通して表皮の水分が蒸発し、その結果水分を失った表皮はさらに薄く硬くなり、小じわになっていくのです。

皮膚の老化の三つ目の原因は「細胞の酸化」です。金属や食物、油などの物質は長い間空気にさらされると酸化してダメージを受けます。同様に、私たちの体内に取り込まれた空気(酸素)の一部が変化してできた「活性酸素」は、脂質と結合して細胞を酸化させます。そして、細胞の酸化は真皮のコラーゲンを硬くして皮膚の弾力を失わせてしまうのです。

皮膚の老化の四つ目の原因は「皮膚が薄くなること」です。年齢が進むにつれて私たちの肌から、弾力の素である真皮層のコラーゲンやエラスチンが減少します。そして肌細胞を作り出す力も衰え、表皮が薄くなります。すると肌がたるみ、若くふっくらとして柔らかさが肌から失われるのです。

◆美しい素肌を保つために◆

では、皮膚の老化を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。先生は主に二つの方法を紹介してくださいました。

一つは「モイスチャーバランス」を整えることです。私たちの素肌を構成しているものの中に、「NMF」、「脂質」、「水分」という3つの大切な要素があります。この3つがバランスよく存在することで、みずみずしい肌が保たれるのです。これを、モイスチャーバランスといいます。

NMF (Natural Moiscurizing Factor)」は、アミノ酸などからできている天然保湿因子で、角質層の水分を保持する機能をもちます。「脂質」は、文字通り油のことで、皮脂腺から分泌される皮脂と細胞間脂質から成り立っており、肌の表面を覆って水分が蒸発するのを防ぐ役割を果たしています。そして、モイスチャーバランスの基本となるのが、「水分」です。水分が十分にあってこそ、NMFも脂質もその役割を果たすことができるのです。そのためには、化粧水で十分肌に水分を染み込ませ、乳液で水分と油分のバランスを整え、保湿成分(例えばヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチン)の含まれる美容液を用いると効果的です。

もう一つの方法は「紫外線対策」です。特に、先に話題にあがったUV-Aを防ぐ必要があります。一般的に効果が高いとされている「日焼け止め」(SPFが高いもの・PA+++)は、薬の効果が強すぎるので肌を傷つけてしまうので、パウダーファンデーションで紫外線を乱反射させることが肌に優しい紫外線対策と言えます。日常生活の紫外線対策は、SPFの値は25くらい、PAは+が一つくらいの日焼け止めと、パウダーファンデーションで十分とのことでした。

結論:美しい素肌を保つためには、①基本のスキンケア、②紫外線対策、加えて適度な運動で心身ともに健康的な生活を送ることが大切。

31  32

2009年3月 6日 (金)

高等教育機関等連携事業「学びの風」・アンチエイジング講座~いつまでも若々しくありたいあなたへ~ その2

3月2日(月)、第2回目の「学びの風・アンチエイジング講座」が開催されましたflair今回の講師は群馬大学社会情報学部教授・寺石ユリウス雅英(てらいし・ゆりうす・まさひで)先生ですeyeglass

以下に先生のお話をまとめますpen

テーマ:「若さは笑顔から!褒め上手でにこにこ人生」

問題提起:若さを保つにこにこ人生のための恋愛テクニックとは?

寺石先生曰く、「若さを維持するための方法は両想いの恋(相手から反応があるから)をし続けること」です。なぜなら、恋をするか否かで日常生活への張り合い、自分の外面や内面に対する気遣い、情報感覚や情報の摂取量などが決定的に変わってくるからです。そんな「両想いの恋」が成立する可能性を高めるために、人の心に飛び込み皆から信頼され好かれる方法を身につけたいものです。

そのために、良くも悪くも人がいかにコントロールされやすいか、コントロールされやすい人同士がどのように信頼関係を築いたらいいか、人が愛し愛されるために超えるべきものは何か、考えます。

1.人がコントロールされる原因

人はコントロールされやすい生き物です。程度の差はあれ、それはほぼ全ての人に当てはまります。では、なぜ人はたやすくコントロールされるのでしょうか。その原因は、極度の思い込み、こだわり、強い金銭欲、名誉欲、自尊心、忠誠心、罪悪感、恐怖感、権威や地位へのコンプレックス、自己能力への過信、同質化、群集化など、誰もがもつさまざまな欲や感情です。これらが強く作用して、人の心を左右すると知っていれば、その対処法も見えてくるのです。

2.信頼関係構築のために

少しの心遣いで相手との信頼関係は築けるものです。講義では12のテクニックが紹介されましたが、そのいくつかに焦点をあててみます。例えば「パーム・テクニック」、相手にさりげなく掌を提示することで相手を受け入れていることを示します。他にも息を吐くリズムに合わせてうなずく「ノッド・テクニック」、相手の仕草を真似る「ミラーリング・テクニック」も相手に好印象を与えます。

また、「あなたは社交的だけど、独りを好む面もある」というように矛盾する2つの側面を両方提示することで、はずすことなく相手を深く理解していると感じさせる「二面性テクニック」、「まさか~ではありませんよね?」と聞き、はいと答えられてもいいえと答えられても「やっぱり」と切り返せる「否定疑問文テクニック」なども効果的です。

これらをうまく駆使して、人の心が心地よくなるようコントロールすることで、お互いがお互いを理解できていると感じられ、よい信頼関係が築けるのです。

3.愛し愛されるために超えるべきもの

人間の心理にはいくつかのマイナス感情があります。それは、なぜ私ばかり…という損得勘定や不公平感、どうせ私なんか…という自己嫌悪、こんなにがんばっているのに…という評価欠乏症、悪いのは私じゃない!という自己正当化や他者悪人説、男は・女はどうしてわかってくれないの…という男女対称性です。

しかし、愛されるための心理学的法則を理解すれば、これらのマイナス感情もプラスにはたらきます。その法則の一つは「好意の返報性」です。人は相手に何かしてもらうとお返しをしなければ気がすまなくなってストレスがたまるという性質をもっています。だから相手にしてもらいたいことを自分から進んで相手にしてあげると、最終的にはそれが相手から返ってくるのです。二つめの法則は「自尊欲求」です。自分に対していろいろ尽くしてくれる人よりも、自分のすることを喜んでくれる人や、自分のことを認めてくれる人の方が、この欲求を満たして人から愛されるのです。三つめの法則は「問題対処の非対称性」です。ある問題に直面した時、男性は解決策を、女性は受容と共感を求める傾向にあり、異性に相談してもほしい答えが返ってこないことがよくあります。ただ、求めるものが違うとわかっていれば、それなりの対処ができるものです。

以上の法則を理解し、マイナス感情をうまくコントロールすると、愛情が豊かになります。損得勘定・不公平感に対しては、自分から与えてあげ、気遣ってあげることで、自己嫌悪に対しては、自分の魅力に気づき、欠点を個性に転化することで、評価欠乏症に対しては、相手を頼り、喜んであげることで、自己正当化・他者悪人説に対しては、まず自分から変わってみることで、男女対称性に対しては、違う思考回路を持っていることを理解することで、相手とよりよい関係が築けるのです。

結論:相手に心を開いて信頼関係を築き、マイナス感情を褒めることで昇華すれば「両想いの恋」が実現する可能性が高くなり、人生にこにこ、若さも保たれる。

22

2009年3月 4日 (水)

高等教育機関等連携事業「学びの風」・アンチエイジング講座~いつまでも若々しくありたいあなたへ~ その1

2月20日(金)、今年度の高等教育機関等連携事業「学びの風講座」が始まりましたshinehappy01今回のテーマは「アンチエイジング(老化防止)」、公開講座を含む全4回構成で、これがご好評をいただいて90人の方に受講のお申し込みをいただきましたhappy02notes

初回は講師に農学博士、国際学院埼玉短期大学客員教授、おさかなマイスター協会講師の鈴木たね子先生をお迎えしましたfishwavefish以下に講義の内容をまとめてみますfuji

テーマ:「アンチエイジングは魚食から!」

問題提起:アンチエイジングに効果的な魚食のあり方とは?

◆老化(エイジング)と魚食の関係◆

老化(エイジング)とは、年をとるに従って、肉体的、精神的機能が衰えることです。この老化は様々な病気の原因となり、それらを加速させます。脳卒中、動脈硬化、心筋梗塞、歯槽膿漏、腎不全、骨粗鬆症、糖尿病、アルツハイマー病などは老化が一つの原因となる病気の代表です。

しかし、これらの病気と魚食の間には因果関係があります。例えば魚食頻度が高いほど脳卒中やアルツハイマー病の発症リスクが低くなる、寿命が長くなるというデータが疫学調査によって示されています。つまり魚食が老化を防ぐのです。

◆魚油の力◆

アンチエイジングに効果をもたらすのは魚油です。実は、肉と魚肉はたんぱく質や炭水化物、脂質の含有量がほぼ同じです。ただし脂肪含有量が同じでも、肉と魚肉ではその機能が大きく違うのです。

また、一時日本に植物油万能説が流れたことがあります。しかし万能と考えられた植物油に含まれるリノール酸は、コレステロールを下げはしますが、過剰な摂取によるアレルギー患者や炎症性疾患の大腸癌患者の増加との関連も指摘されています。

では魚油の何がアンチエイジングに機能するのでしょうか。それは魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)です。EPAは血液の凝集を阻害するホルモンの原料であり、心筋梗塞や脳梗塞を予防します。ほかにも血液中のコレステロール低下作用があり、動脈硬化の予防にもなります。一方DHAには脳の活性化機能があります。DHAの摂取によって、学習能力や判断力の向上、認知症やアルツハイマー病の病状改善、情緒の安定などが見込まれます。またDHAにも血中コレステロールを減少させる機能があります。

ちなみに、EPAとDHAは魚油以外の脂質には含まれていないので、このことからも魚食がいかに大切かがわかるのです。

◆魚介類の力◆

魚油に含まれるEPAやDHAの他にも、魚介類には老化を防止する成分がたくさん含まれています。例えば、カルシウムを機能させるのに必要なビタミンD、血圧を正常化させたり血中コレステロールを減少させたり視力を回復させたりするタウリン、活性酸素を消去して生体内の過酸化物の生成を抑制するアスタキサンチン(さけやいくらの色素)などです。

以上のように、魚介類には老化を防ぐ成分が豊富に含まれているので、それを食事によって摂取する「魚食」がアンチエイジングに効果的な一つの方法であるといえるのです。

結論:「魚を食べて歩こう!」

やはり、ただ魚を食べているだけではなく、軽く体を動かすことが大事です。おいしくて体にもいい魚介をいただき、ウォーキングなどの軽い運動をする、「魚食と運動で老い知らず」。以上が鈴木先生のお話でした

2