よもやま ばなし
人にはそれぞれ、物事を知りたいという本質をもっていて、それが嘘であれ真実であっても、実(まこと)しやかに身を乗り出して探ろうと聞耳を立てる、(なかには、無頓着な方もいると思いますが…) そんな深層心理をうまく利用して、 例えば三国志、水滸伝、など、史実にもとずいているものの大袈裟に取り上げて面白おかしくしたのが演義や漫談、講談となって楽しませてきたのではないでしょうか? 前置きが長くなってしまいましたが、身近な話?をひとつ…
《印鑑の印肉なぜ朱色なのか》
海外で生活をした人なら誰しもが思うことに、日本ほど印鑑を重要視している国は類を見ないといっても過言ではないでしょうか。それを顕著に表わしているのが銀行でしょう。お金を受取るときなど、どんな身分証明を見せてもダメ、そこで三文判を買って押すとたちどころにOkとなるのです。
さて、生活に欠かせないこの印鑑、銀行、市役所、会社、個人、決まって朱肉が使われています。 なぜでしょうか?実際のところ朱でなければというキマリはないそうなのですが、習慣上、朱が一般的になっているのです。 昔からわが国では赤い色は尊いもの、そして神社や鳥居、ダルマさんなどの魔よけの色とされてきました。印鑑の朱肉もおめでたい色とともに魔よけの色として用いられ、現在に引き継がれているようです。
ちなみに、庶民が印判を使うようになったのは江戸時代といわれますが、その頃は朱印は官許に限られ、もっぱら「黒印」がもちいられたといいます。 朱肉の一般的流行は明治以後のことです。