« 星に願いを・・・。 | メイン | 生涯学習振興基金に寄付をいただきました! »

2009年8月11日 (火)

Theあしかが学―新たなる発見をもとめてⅣ―講座レポート第5回

2151  2152

7月23日(木)、Theあしかが学4回目の講座が開かれましたshineshine講師は足利仏教和合(わごう)会会長・西宮長林寺住職の白金昭文先生でしたconfident

テーマ:足利の精神性を探る―洗心のススメ

足利市は県内随一の寺社数をほこるまちです。また、市内に存在する高等教育機関である足利工業大学や足利短期大学の母体は足利仏教和合会です。さらに、足利の偉大な書家・相田みつをさんの作品には仏教の精神性が色濃く反映されています。

先生によれば、1439年に上杉憲実が足利学校に五経を寄進したこと、1448年に西宮長林寺の前身である長雲寺に大見禅龍(だいけんぜんりゅう)が招かれてきたこと、これらが足利における仏教精神を盛り立てる根本的な原因の一つになったそうです。そうしたことから先生は、「足利の精神性」を仏教、中でも「禅の世界」という切り口からお話してくださいました。

「禅」といえば有名なのが曹洞宗の開祖・道元ですが、彼が詠んだ歌に次のようなものがあります。「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」道元はほかにも数々の歌を詠んでいますが、それらには一貫した趣意が込められています。それは「前ばかり向いて歩かずに、ときには立ち止まり後ずさりして、自然と同化し、仲良く自然と語り合う気持ちのゆとりをもちなさい。そうすれば、身も心も楽になり、自然のもつ本来の美しさや深みが見えてきますよ。」というものです。

次に「長林寺開山・大見禅龍(だいけんぜんりゅう)」。その道の方でなければ知らないような名前ですが、この方も禅師としてのたくさんの言動が記録されています。その中に、次のようなエピソードがあります。大見禅龍は修業で先生の説示を聞いていました。先生は「仏さまはどこにいらっしゃるか」という問いに対する自分の考えを語りました。「青葉の薫りを吹き送る風が南から来る季節になった。そのお陰で今堂内は涼やかですがすがしい。そして仏さまはここにいらっしゃる、と私は考える。」大見禅龍はこれを聞いて真理を悟ったとのことです。

このように、「禅の世界」では「自然を感じる感覚」を大事にするようです。この場合の「自然」は、海や川や山や動植物などを表す「自然」と、飾らない・ありのままのという意味の「自然」と、両方の意味を含んでいると思います。足利には前者の「自然」がたくさんあります。それらをありのままに感じて味わってみる、そうすると心が洗われ、「足利の精神性」が磨かれるのかもしれません。