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2009年7月13日 (月)

Theあしかが学―新たなる発見をもとめてⅣ―講座レポート第3回

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7月1日(水)、生涯学習センター101号室において、「Theあしかが学~新たなる発見をもとめてⅣ~」の第3回目の講義が開催されましたeyeglass講師は樹木医、環境緑花コンサルタント、あしかがフラワーパーク園長の塚本こなみ先生ですshineshine講演のテーマは「プロフェッショナル仕事の流儀 ―私とあしかがフラワーパーク―」でしたが、先生は「藤の移植のお話は何度もしているから、自分のこれまでの人生を振り返って今感じていることをお話しします」とおっしゃって、とても心に響くお話しをしてくださいましたheart04

先生の仕事や物事に関する基本的な考え方は『やってみなきゃわからない、できないと思った時に本当にできなくなる、だからあきらめないでできるまで考える、可能性が少しでもあるうちはギブアップしない』です。たとえ難しい移植の仕事でも、やり方を変えて、工夫をして、その木に何度も会いに行って「あなたはどうすれば動いてくれるの?」と問い続けます。それらの仕事が無理難題なほど闘志がわくのだそうです。

先生はその一方で、『大切なものは名誉や肩書きではない、テレビ出演も本の出版ももういい、できれば静かにお百姓さんをしたい』と最近は考えていらっしゃいます。あしかがフラワーパークの大藤の移植以外にも、先生は大きな樹木の移植をなさっていますが、以前はそれらの仕事に対して「私がやったんだ」という自負心が大きかったそうです。しかし最近は、実はそうではなくて『この木が動いてくれた、私はこの木を動かすお手伝いをしたんだ、私は木に問いかけて、木から学び、そして今があるだけ』という気持ちのほうがはるかに大きいということです。

先生がそう考えるようになった大きなきっかけの一つが、55歳の時の入院です。働きすぎで倒れて入院なさったわけですが、その入院生活がとても楽しく、大事なことに気付く時間にもなったそうです。例えば先生は、ベッドから窓の外を眺めていたら、カラスが毎日同じ時間に山から飛び立ち同じ時間にねぐらへ帰ってくること、雲の形が刻々と変化して最後には消えてしまったりすることを知りました。空の青さや一輪のチューリップを飽きもせず愛でて楽しんだりもしました。そしてその小さな楽しみに感謝して『これが生かされているということなんだ』と気づき、『心豊かに生きたい、感謝のできる人生を送りたい』と感じたそうです。小さなことに感謝できる自分がそこにある、それは心豊かに生きている証、幸せに生きている証なのです。

また先生はこうも考えたそうです。『私たちは、人間が生きていく上で一番大事なものを忘れているかもしれない、自分が地球だったら今の人間を排除しようとするかもしれない』と。

そのような気持ちになってから先生は『これから自分に何ができるのか』と問いかけました。そして、木のことはある程度わかるしできるから、ならばその知識と経験を活かして農業をやろうと決めました。具体的には、藤や糖度約18%の生食用のキンカン、その他様々な野菜を完全無農薬・化学肥料なしで育てているそうです。さらに、先生の農園はセラピー農園です。それは、引きこもりになりがちな大人達が、登校拒否になりつつある子ども達が、植物を通して人間性を取り戻すことができるようにとの願いが込められているのです。

あきらめないこと、小さな可能性を活かすこと、ただそれで成功したからといって慢心しないこと、いつでも生かされていることに感謝して心豊かに生きること…先生のお話には大切なメッセージが散りばめられていたと思いますcloverそれらを自分なりに受け取って、自身の生き方に反映させていけるといいのではないでしょうかbud

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