犯罪被害者の人権を考える
9月13日(火)毛野新町女性学級の人権学習で「犯罪被害者の人権を考える」とのテーマで公益社団法人被害者支援センターとちぎ事務局長にご講話をしていただきました。
先生は、今から11年前、2000年7月31日に突然、お嬢さんの命が交通事故で奪われました。「行ってきます。」の一言が最後に聞いた言葉だったそうです。
加害者は、10トントラックの運転手。荷物をおろしてからのどの渇きをいやすために同僚とともにお互いビール大瓶4本を飲んで、5分の仮眠を取っただけで運転を始めました。同僚の運転手が危険な状態だったので運転を制止しても「大丈夫」と言って運転したうえ、仮眠状態に陥りこの事故を起こしました。
トラック運転手は、ガードレールにぶつかって目が覚め、慌ててハンドルを右に切ったたため、反対車線を走っていたお嬢さんの普通車に正面衝突をしてしまいました。お嬢さんの車は、正面衝突された上に、そのまま電信柱と大谷石の壁、トラックに押しつぶされて原形をとどめていなかったそうです。
その時から先生は、被害者になりました。
「被害者はなった時点からやめることはできない」重い一言でした。
被害者になって立ち上がれない状態からやっと立ち上がろうとしたしたときに「二次的な被害」に襲われたそうです。その言葉を発した人たちにとっては何気ない一言なのでしょうが、言われた方は胸に突き刺さり傷が癒えないのです。
「また子どもを作ればいい。」「忘れた方がいい。」
その人は帰ってこないのです。代わりもいないのです。
人は時に憶測でものを言うことがあります。そのことの事実だけをとらえないで、話をしたりものを書いたりすることがあります。それがどれだけ人を傷つけることでしょうか。直接その人に言わなくても陰で言っていれば、必ずそれは相手に伝わると私は思います。
事件や事故は当事者でない限り「他人事」です。被害者のご家族が作られたパネルを会場に飾りました。そこにはまぎれもなく一人の人間が生きていた証がありました。
「加害者がいなければ被害者はいない。」
飲酒運転は自分で防げるのが大半です。そこから取り組んでいくことと、様々な犯罪被害者の相談先として都道府県に「被害者支援センター」があります。
身近に困っている方がいたら、少なくとも二次的な被害を防ぐことと、支援センターがあることを教えてあげたいと思います。